脆弱性管理をレベルアップし、キャリアを加速させる
Tenable は、次世代の優れた CISO やセキュリティリーダーは、今日エクスポージャー管理へのシフトを推進している脆弱性管理の専門家から生まれると考えています。
キーポイント
- 脆弱性管理は、サイバーセキュリティに対するアプローチを、より戦略的でビジネスに沿ったものへと進化させるうえで極めて重要です。そのため、この分野の専門家は、エクスポージャー管理へのシフトを主導するのに最適な立場にいると言えます。
- 脆弱性管理の専門家は、CISO、最高リスク責任者、ビジネスリーダー、IT チーム、セキュリティチームに対し、エクスポージャーに関するインサイトを提供する主要な情報源として、コミュニケーションの改善、効率化の推進、投資の案内、組織のリスク態勢の強化において極めて重要な役割を果たします。
- エクスポージャー管理によって資産、リスク、優先順位付けを深く理解することで、次世代のセキュリティリーダーになることができます。
脆弱性管理のプロとして、あなたはすでにアタックサーフェス全体の資産とリスクに関する深い知識を持っています。 これにエクスポージャーに関する豊富な文脈を提供する能力が加われば、組織全体がリスク態勢を改善し、より良い成果を上げるのに役立つ、戦略的でビジネスに整合したインサイトをたちまち提供できるようになります。 あなたは他のセキュリティ専門家よりも、包括的なエクスポージャー管理への進化を主導するのに適した能力を備えているのです。
さまざまな楽器 (ツール) を一緒に用いるという点で、セキュリティ組織はオーケストラによく似ています。 もし個々の奏者がそれぞれ別の楽譜を見ながら、互いの存在を意識せずに演奏したとしたら、耳にするのはただの不協和音です。そこには確かに音楽が存在しますが、雑音にかき消されてしまい、誰にも聴き取ることはできません。
これらの音楽家 1 人ひとりを、組織内のさまざまなセキュリティサイロだと考えてください。 彼らは自分のスキルや「ツール/楽器」を持っていますが、それには関係性の文脈が欠けているため、結果は理想的なものとは言えません。
よくある攻撃の連鎖を考えてみましょう。 クラウド環境における単純な設定ミスは、単独では無害に見えるかもしれません。 しかし、それがデータベースの重大な脆弱性に直結していれば、機密性の高い顧客の記録が危険にさらされることになります。 同様に、多要素認証 (MFA) なしで管理者アカウントへのアクセスを提供する基本的なウェブアプリケーションの欠陥があると、組織の環境全体の支配権を与えてしまうことになりかねません。 攻撃者はこのような可視性と文脈のギャップを巧みに悪用します。
あなたは脆弱性管理のプロとして、その手順を知っています。 これまでに、外部からのアクセス可能性、悪用される可能性、資産の重要度を考慮したリスクベースの脆弱性管理 (RBVM) を通じて、より豊かな文脈を提供するための下地を作っていたかもしれません。 この経験は、セキュリティの未来を切り拓き、その指揮を執る上で、あなたを唯一無二の存在として位置付けるものです。
エクスポージャー管理の専門家となることで、あなたは指揮者として舞台の中央に立つことができます。 エクスポージャー管理プラットフォームを使用すると、サイロ化したツール全体にわたってデータを統合し、関係性に関する深い文脈 (資産、アイデンティティ、リスク、ビジネス間のつながり) にアクセスすることができます。
組織の最重要資産につながる現実的な攻撃経路に対する攻撃者の視点を身に着ければ、セキュリティチームや IT チームが重大な弱点を解消するための修正作業に集中できるよう支援できます。
こうした文脈情報によって、ビジネスに整合したエクスポージャー指標を提供し、同僚、自分の部門のリーダー、CISO、ビジネス部門の従業員といった関係者の間のコミュニケーションを効率化することもできます。 誰もが、セキュリティ投資によってどのようにリスク態勢の最適な改善を図れるかを理解できるようになるでしょう。 これらは、未来のセキュリティリーダーのツールキットに不可欠な要素です。

指揮者として、自分の価値、影響力、専門知識を拡大する
エクスポージャー管理が脆弱性管理チームの対象範囲と焦点をどのように進化させるかを語るのは簡単です。 しかし、あなたにとって、そして、あなたとセキュリティ部門や IT 部門の同僚、ビジネス部門のリーダー、その他の部門のリーダーとの関係にとって、それが本当に意味することは何でしょうか。
さまざまなロールと、彼らが抱える難題を見てみましょう。 同様に重要なこととして、指揮者であるあなたが、組織全体における自分の価値、認知度、影響力を高めながら、どうやって同僚の日常業務に変化をもたらすことができるかについても比較して示します。
| ロール | 戦略上の課題 | あなたの影響力 |
| 情報セキュリティ最高責任者 (CISO) | CISO による経営陣への報告は、ビジネスとの関連性に欠ける紛らわしい CVE 指標やパッチの件数によって理解しづらいものになることがよくあります。 | 経営陣が容易に理解できるビジネスに整合したリスク態勢とエクスポージャーの指標を伝達できるよう、CISO を支援します。 |
| 最高リスク責任者 (CRO) | CRO は、リスクやコンプライアンスに整合していない、断片的で技術的な報告に頼らざるを得ません。 | ガバナンス、リスク、コンプライアンスのシステムの有効性を維持するために CRO が必要とする、ビジネスとフレームワークに沿った一元的なレポートを提供します。 |
| ビジネス部門のリーダー | リーダーたちは、セキュリティのエクスポージャーと、限られた人員や資金を割り当てるべき場所を把握するのに苦労しています。 | ビジネス部門のリーダーに、透明性の高いエクスポージャー指標とビジネス整合的なビューへのアクセスを提供することで、セキュリティ投資の正当性を説明し、その優先順位を付けられるようにします。 |
サイロ化したセキュリティチーム (クラウド、オペレーショナルテクノロジー、アイデンティティなどを含む) | サイロ化したチームには、優先度の低い検出結果が際限なく押し寄せるため、アラート疲れが起こります。 | 最も悪用される可能性が高く、影響の大きいエクスポージャーを最初に明らかにするために必要なツールを、サイロ化したチームに提供します。 |
| IT 管理者 | 管理者は、サイロ化され、文脈情報や修正のガイダンスに欠ける大量のチケットに圧倒されています。 | 弱点の優先順位付けと AI を利用した明確な修正ガイダンスにより、IT 管理チケットのノイズを削減します。 |
| 開発者 | 開発者は、緊急性やビジネスへの影響を理解しないまま、漠然とした修正依頼を受け取っています。 | 優先順位が高く、ビジネスに影響を与えるエクスポージャーについて、必要な修正のコード化とともに、明確なガイダンスを提供します。 |
| セキュリティ調査チーム | セキュリティ調査チームは、調査の際に、数え切れないほどのさまざまなセキュリティツールや IT ツールから取得したテレメトリーデータを手作業でつなぎ合わせています。 | 忠実度の高い技術面とビジネス面の文脈を 1 か所で提供することで、チームが調査を迅速化し、進行中の攻撃を阻止できるようにします。 |
| パープルチーム | パープルチームは、資産とリスクの関係や、優先的にテストする必要のある価値の高い標的を可視化できていません。 | 重要資産につながる実際の攻撃経路に優先順位を付けて可視化することで、最重要事項に焦点を絞ってテストを行えるようにします。 |
出典: Tenable、2025 年 10 月
どこから始めるべきか? 次の優れたセキュリティリーダーになるための鍵
今は、脆弱性管理の専門家にとって決定的なチャンスです。 包括的なエクスポージャー管理への進化を推進することで、あなたは「セキュリティオーケストラ」の指揮者となります。 あなたが提供するガイダンスによって、実際のビジネスエクスポージャーを削減するという共通の目標のもとに、セキュリティチームと IT チーム、ビジネスリーダー、経営幹部を連携させることができるのです。
変化は容易ではなく、キャリアパスの構築には時間がかかることを当社は認識しています。 では、どこから始めればよいのでしょうか。 脆弱性管理からエクスポージャー管理への道のりを先導できるようにするために、今日から実行できる 2 つのアクションをご紹介します。
1.セキュリティリーダーのために問題を再定義する
ヒント: 従来の脆弱性管理は、パッチの数、CVSS スコア、SLA 指標など、量に重点を置いており、真に重要なものを明確に表面化させるものではありませんでした。 エクスポージャー管理は、ビジネスに真の影響を与える悪用可能なリスクに優先順位をつけることで、その状況を一変させることができます。 攻撃経路を可視化し、重要資産に焦点を絞り、ビジネスへのリスクについて語ることで、不明瞭な会話を明瞭なものへと変えていきましょう。 エクスポージャー管理によって、継続性、信頼、そして規制当局からの圧力に沿ったエクスポージャー指標を用いた取締役会レベルへの報告がどのように可能になるかを示してください。
2. エクスポージャー管理を戦略的な目標に結びつける
ヒント: 経営幹部は、リスクの削減、効率の向上、コンプライアンスへの対応、変革の安全な実現といった成果を重視します。 エクスポージャー管理は、追加されるもう 1 つのツールではありません。サイロ化されたデータを統合し、共通のリスクの文脈を適用し、部門横断的に情報に基づいたアクションを推進する戦略的な機能です。 エクスポージャー管理を、既存の投資を尊重しつつ、ビジネスと整合した一元的な文脈を通じて、よりスマートな意思決定を可能にする進化のステップとして位置づけてください。
本シリーズの次回の記事では、この戦略を実際的に適用する方法をご紹介します。 ツールやベンダーの乱立、外部アタックサーフェス全体の盲点、急速な技術導入のせいで管理されていないリスク、アラート疲れによる負担の増大という、今日のセキュリティプログラムが直面する 4 つの喫緊の課題を取り上げる予定です。
もっと詳しく
Tenable One のようなサイバーエクスポージャー管理プラットフォームが、予算を食いつぶしたり、チームやツール、プロセスを混乱させたりすることなく、差し迫った優先事項と長期的な目標とのバランスを取ることで、どのようにこれらの問題の克服に役立つかをご覧ください。
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