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統合型脆弱性管理 (UVM)

公開日 | 2025 年 10 月 24 日

その役割と重要である理由

複数の脆弱性管理ツールを併用すると、資産の可視性やリスクの優先順位付けが分断されてしまうことがあります。統合型脆弱性管理は、既存のツールと連携することで、サイロ化されたプロセスを進化させます。資産データや CVE データを一元的に集約し、可視化、優先順位付け、ワークフロー、分析、レポーティングにおいて一貫したアプローチを実現します。

UVM とは? 統合型脆弱性管理が重要である理由

従来の脆弱性管理は、主に IT 資産内の脆弱性に焦点を当てていました。これに対し、統合型脆弱性管理は、クラウド、コンテナ、Web アプリケーション、オペレーショナルテクノロジーなど、他のセキュリティツールや領域から得られる脆弱性データも取り込みます。これにより、すべての脆弱性データを一元的に可視化できる「シングルペイン・オブ・グラス(単一画面管理)」を実現します。

すべての UVM ソリューションの中核となるのは、次の 3 つの基本機能です。

  • 既存の脆弱性評価ツールとの統合
  • 資産と脆弱性データの重複排除と標準化
  • アタックサーフェス全体の脆弱性の一元的な可視化

従来の脆弱性管理では不十分な理由

セキュリティチームは、増え続ける脆弱性、ノイズの多いセキュリティアラート、断片化されたサイバーセキュリティツール、拡大するアタックサーフェス、散在するデータなどの問題に直面しています。そのため、資産がどのようなもので、どこにあり、その中にどのような脆弱性が存在するのかを把握することはほぼ不可能になっています。

統合型脆弱性管理を使用すると、環境に関係なく資産と脆弱性の堅牢なインベントリが作成されるため、サイバーリスクをより効果的に管理できるようになります。

アタックサーフェスは広大であるため、従来の脆弱性管理ではセキュリティ態勢に可視性のギャップが残る可能性があります。 

例えば、攻撃者は IT 環境内で CVSS スコアが最も高い脆弱性を探しているとは限りません。 そういったものには、多くの場合最初にパッチが適用されるからです。 むしろ、攻撃者はクラウドコンテナや OT デバイス内の比較的リスクの低い脆弱性を探して、アクセス権の取得やラテラルムーブメントを行う可能性があります。 

従来の脆弱性管理ツールには、クラウドコンテナ、CI/CD パイプライン、OT 資産に対する可視性が欠如しています。 たとえ組織がクラウドや OT 環境を管理する専門的なセキュリティソリューションを導入していても、そういったツールにより検出された CVE を脆弱性管理チームが可視化できない場合もあります。 

この従来型の脆弱性管理ツールと他の領域のツールとの間に生じるギャップこそが、統合型脆弱性管理が最も力を発揮する領域です。 統合型脆弱性管理では、脆弱性を検出したツールや、脆弱性がアタックサーフェスのどこに存在しているかに関係なく、サイロ化されたデータを一元化し、CVE を包括的に管理し、一貫した修正を行うことができます。

統合型脆弱性管理の中核機能

統合型脆弱性管理プラットフォームのほとんどは、以下の機能を提供しています。

1.統合された資産インベントリ

既存の評価ツールから資産の情報を収集し、統合インベントリで可視化します。

2. 脆弱性の一元的な可視化

既存のツール全体から脆弱性データを収集し、CVE を一元的に表示します。

3. データの統合と合理化

ツールやベンダーをまたいで資産とリスクのデータを重複排除して標準化し、単一のリポジトリに統合します。

4.  ワークフローの統合

チームを横断して、チケットの発行や修正の進捗状況の追跡などの一貫したワークフローを実現します。

5. メトリクスとレポーティング

チームを横断して脆弱性管理プログラムの進捗状況を評価し、報告するための一貫したアプローチを提供します。

統合型脆弱性管理とエクスポージャー管理の違い

統合型脆弱性管理機能は、エクスポージャー管理の一部として含まれます。 ツールやベンダーを横断してサイロ化された脆弱性データが統合されるため、資産と脆弱性をより一元的に把握できるようになります。 

その主な目的は、可視性の統合です。 ただし、脆弱性の検出とパッチ適用だけでなく、ビジネス面のエクスポージャーの削減が求められている場合は、エクスポージャー管理こそが、最も重大なサイバー脅威とエクスポージャーにまず焦点を当てられる完全なフレームワークとなります。 エクスポージャー管理は、それを実現するために、広範な統合とネイティブ検出機能によって可視性を拡張し、高度な優先順位付けとアクションに必要となる豊富な関係性の文脈を付加します。 

これらの違いを詳しく見ていきましょう。

  • 統合型脆弱性管理ソリューションと同様に、エクスポージャー管理プラットフォームは資産と脆弱性データを集約します。 ただし、エクスポージャー管理プラットフォームは、より幅広いツール群と統合されることで、設定ミスや人間およびマシンの過剰な権限といったその他のリスク検出結果を収集します。 エクスポージャー管理プラットフォームは、既存のツールとの統合に加え、アタックサーフェス全体の資産の全体像を把握するためのネイティブ検出機能を備えています。
  • エクスポージャー管理プラットフォームは、この豊富な資産とリスクのデータを使用して、アタックサーフェス全体の資産、アイデンティティ、リスクの関係をマッピングします。 組織は、攻撃者がミッションクリティカルな資産、データ、サービス、プロセスにたどり着くために悪用する可能性がある攻撃経路を可視化し、潜在的な影響に基づいて対策の優先順位を決定できます。
  • より広範なアタックサーフェスの可視性と豊富な技術面とビジネス面の文脈により、エクスポージャー管理は高度なリスク優先順位付けを行うことができます。これは統合型脆弱性管理では不可能です。 データを統合するだけでなく、優先順位付けやワークフローの自動化を強化したい場合には、エクスポージャー管理プラットフォームを評価対象として検討することをお勧めします。

以下をご覧いただくと、それぞれによってどのような疑問への答えが得られるかを簡単に理解できます。

統合型脆弱性管理が解決する疑問: 「どのような脆弱性が、どこにあるのか?」

エクスポージャー管理が解決する疑問: 「攻撃者は脆弱性、設定ミス、権限をどのように組み合わせて悪用するのか? その結果生じたどの攻撃経路が、ビジネスにとって最大のエクスポージャーとなるのか?」

クラウドにおける統合型脆弱性管理

ワークロードをクラウドで運用している場合、従来の脆弱性管理ツールでは全体像を把握できません。

クラウド環境は変化が速く、分散しています。 コンテナのような新しい資産は数分で立ち上がっては消えることがあるため、定期スキャンの合間に脆弱性が出現する場合もあります。 

こうした課題に対処するために、多くの組織はクラウドセキュリティポスチャー管理クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォームなどの、API を使用してクラウドプロバイダーに直接統合する専門的なクラウドソリューションを利用しています。 これによって、よりリアルタイムにクラウド環境をスキャンできるようになります。また多くの場合、本番環境への大規模なデプロイメントの前に、コンテナ内などの脆弱性を可視化できるようになります。

こうしたソリューションの課題は、IT、クラウド、さらには OT の重要な脆弱性データが、別々のツールによってサイロ化されることです。 そのため、主要業績評価指標 (KPI) の追跡、サービスレベルアグリーメント (SLA) の管理、コンプライアンス、事業部門への報告が、時間のかかる困難なものになります。 

このような状況で、統合型脆弱性管理は、オンプレミス環境とクラウド環境全体のリスクをより包括的に把握できるよう支援できます。 

統合型脆弱性管理は、まとまりのないツールや分断されたワークフローで脆弱性を管理する代わりに、脆弱性の全体像を把握できるようにすべてをまとめます。

統合型脆弱性管理ツールの選び方

適切な統合型脆弱性管理製品を選定する際には、長期的なサイバーセキュリティのニーズに関するいくつかの基本的な質問から始めることが大切です。 

まず、主な目的は、複数ベンダーのデータを統合して、脆弱性管理プログラムの効率と効果を高めることでしょうか。 もしそうであれば、統合型脆弱性管理が適切な解決策となるかもしれません。 

しかし、脆弱性データの統合にとどまらないニーズがあるのであれば、エクスポージャー管理ソリューションにも目を向けて、以下の追加質問を自問してみるとよいかもしれません。

  • アタックサーフェスの可視化において、埋めるべきギャップはありますか?
  • コストを削減するためにツールやベンダーの統合を検討していますか?
  • 増え続ける検出結果を管理するのに、集約と重複排除だけで十分ですか?
  • 攻撃者視点で確認を行うための攻撃経路マッピングや、エクスポージャーがビジネスに与える潜在的影響などの文脈が追加されたとしたら、担当チームにとって有益でしょうか?
  • 投資に関する意思決定をサポートするために、現在どの程度効果的にリスク態勢やエクスポージャーを定量化し、事業部門や取締役会に伝達できているでしょうか?

IDC や Gartner などのベンダーは、エクスポージャー管理分野のベンダーについての詳細な評価を行ってきました。 例えば、「IDC MarketScape: Worldwide Exposure Management 2025 Vendor Assessment (世界のエクスポージャー管理ベンダー評価 2025 年)」(文書番号 #US52994525、2025 年 8 月) などがあります。

Tenable は、IDC MarketScape の Exposure Management 2025 でリーダーに選出されました。

Tenable のバイヤーズガイド 「エクスポージャー管理プラットフォーム」では、脆弱性管理、リスクベースの脆弱性管理、統合型脆弱性管理、エクスポージャー管理、およびその他の主要なソリューション分野の間での詳細な機能比較を行っています。

統合型脆弱性管理と CAASM の違い

統合型脆弱性管理と IT 資産のアタックサーフェス管理 (CAASM) は、どちらも既存のツールと連携して資産の一元的な可視化を実現しますが、統合型脆弱性管理の中心は脆弱性管理であり、ソフトウェア脆弱性の検出、優先順位付け、修正の支援に重点を置きます。 

これに対し、IT 資産のアタックサーフェス管理は、あらゆる環境 (IT、クラウド、OT など) にわたる資産の包括的な可視化に重点を置くことで、盲点を減らし、サイバーハイジーンを改善し、複数のセキュリティユースケースに対応します。 

これらの市場セグメントはいずれも、分散したセキュリティツール間でサイロ化されたデータを統合することに焦点を当てています。 そしてどちらも、想定されるユースケースへの対処では効果を発揮します。 

しかし、どちらも他方が提供する資産やリスクの可視化範囲には対応していません。 また、ビジネス面のエクスポージャーを明らかにして解消する際に必要な、重要な文脈情報も提供しません。 

そのため、3 つの要件すべてに対処できる最新のエクスポージャー管理プラットフォームが、統合型脆弱性管理や CAASM に取って代わりつつあります。

Tenable による統合型脆弱性管理のサポート

Tenable は 20 年以上にわたり、脆弱性管理分野をリードしてきました。 

2017年、Tenable は、すべての脆弱性に対する基本的なスコアリングとパッチ適用から脱却し、ビジネス面のエクスポージャーに優先順位を付けて修正するという新たなビジョンを他に先駆けて提示しました。 

Tenable が早い段階で認識していたのは、真のエクスポージャー管理を実現する際の主要なマイルストーンには、非常に広範なセキュリティツール全体にわたる資産と脆弱性データの統合 (統合型脆弱性管理) だけではなく、ノイズの多い検出結果とビジネスに影響するエクスポージャーを区別するための、重要な関連性の文脈の追加も含まれるということです。

Tenable One サイバーエクスポージャー管理プラットフォームは、さまざまな個別ソースのデータを統合し、アタックサーフェスに関する包括的で詳細な文脈を踏まえた把握を可能にします。 この一元的な可視化によって、攻撃者が悪用する資産、アイデンティティ、リスクの間の技術的なつながりや、組織のミッション遂行を支えるビジネス上の関係性が明らかになります。 

その結果、組織は攻撃者のマインドセットに関するインサイトを得て、リスク態勢や目標達成に最大の効果をもたらすよう、人材配置と投資を調整することができます。

Tenable One の主な機能は次のとおりです。

  • IT、クラウド、アイデンティティ、アプリケーション、OT など、すべての環境にわたる資産とリスクを検出します。
  • すべての検出結果を単一画面で包括的に可視化できるため、データのサイロ化が解消されます。
  • 悪用される可能性、ビジネスへの影響、その他の主要なリスク指標に基づいて、最初に修正すべきものに優先順位を付けます。
  • チケットの発行やエクスポージャー対応の追跡を通じて、修正ワークフローを効率化します。
  • ビジネスに即した形でのビジネス面のエクスポージャーの定量化、主要指標と SLA の追跡、目標に対するコンプライアンス状況の報告を行います。

統合型脆弱性管理についてよくある質問

統合型脆弱性管理に関連した最もよくある質問は、従来の脆弱性管理との類似点と相違点に関するものです。 しかし、尋ねられる重要な質問は他にもあります。おそらく皆様も、以下のような疑問をお持ちではないでしょうか。

脆弱性管理と統合型脆弱性管理の違いは何ですか?

従来の脆弱性管理ツールは、環境を見つけてアクティブスキャンを行い、脆弱性を検出します。 これらは CVSS などの業界標準の優先順位付けを使用して、脆弱性を深刻度に応じてランク付けし、修正を行います。 

統合型脆弱性管理ツールは、脆弱性管理ツールとは異なり、直接的に資産を検出したり、環境の脆弱性を評価したりはしません。 その代わりに、組織が環境に導入した既存の脆弱性管理ツールやその他の評価ツールから、資産と脆弱性のデータを収集します。 そして、インベントリと CVE、ワークフロー、メトリクス、レポーティングの可視化を実現する一貫したアプローチを提供します。

統合型脆弱性管理はエクスポージャー管理と同じものですか?

いいえ。統合型脆弱性管理はエクスポージャー管理と同じものではありません。 統合型脆弱性管理ツールは、既存の脆弱性管理ツールやその他の評価ツールから脆弱性データを集約するものです。 エクスポージャー管理ツールは、アタックサーフェスで直接検出を行います。そして、既存のツールと統合することで、アタックサーフェスをより包括的に可視化します。 また、CVE だけではなく設定ミスや過剰な権限など、より多様な種類のリスクデータを検出し、集約します。 

統合型脆弱性管理ソリューションでは、技術面およびビジネス面の関係性をマッピングすることはできません。 エクスポージャー管理では、こういったより広範な文脈情報が付加されるため、重要資産につながる攻撃経路、チョークポイント、修正手順を見つけ出すことができます。 要するに、統合型脆弱性管理がすべての脆弱性の管理に焦点を当てているのに対し、 エクスポージャー管理はその焦点を、個々の検出結果から、真のビジネスエクスポージャーである重要なビジネス資産、データ、役割につながる有害なリスクの組み合わせの把握へと移しています。

既存の脆弱性管理ツールを UVM やエクスポージャー管理ソリューションに置き換えるべきでしょうか?

統合型脆弱性管理ソリューションとエクスポージャー管理プラットフォームのどちらを採用したとしても、いずれも既存のツールと統合し、脆弱性管理ツールに付加価値をもたらします。 ただし、UVM ソリューションには直接的な検出および評価の機能がないため、脆弱性管理ツールに取って代わることはできません。 UVM ソリューションは、既存ツールのデータを集約するものです。 一方、エクスポージャー管理プラットフォームは、直接的な検出とモニタリングの機能を備えています。これは、重複していたツールを標準搭載の検出およびモニタリングの機能に置き換える統合の取り組みを後押しします。その結果、多くの場合、コストが大幅に削減されます。

統合型脆弱性管理はコンプライアンス要件に対応していますか?

はい。UVM ソリューションは、さまざまなツールの資産や脆弱性管理の情報を集約し、一般的なコンプライアンスフレームワークやベンチマークに対する報告を大幅に簡素化することができます。 

Tenable One がどのように脆弱性管理とその他のセキュリティサイロを統合し、全体的なエクスポージャー管理戦略を強化するのかをご覧ください。

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